のんびり気ままにブログ

日々の出来事やクラシック音楽、写真などの趣味についての気ままなブログです。

オペレッタ「伯爵令嬢マリッツァ」名古屋公演

■去る2月9日(金)〜11日(日)、名古屋市文化振興事業団の企画公演によりオペレッタ「伯爵令嬢マリッツァ(Gräfin Mariza)」が上演された。

あまり取り上げられない「マリッツァ」が全幕日本語で上演ということで私は以前から楽しみにしていたが、一般的に言って知名度の低い上演作品であることから客の入りはそう多くはないだろうと予想していた。

ところが、どういう訳か、少なくとも私の行った10日(土)の18時からの上演ではほぼ満席であった。

■さて、感想の方であるが、全編原作に比較的忠実で滑稽味を交えた親しみやすい舞台だった。

今回はタシロを誤解し辛く当たったあとに自分を責めて泣き出すという繊細な一面を見せたやまもとかよさん熱演のマリッツァ、洒落っ気たっぷり滑稽で喜劇俳優並みの好演を果たした鏑木勇樹さんのジュパン男爵、お調子者で明るい加藤恵利子さん演じるリーザ、地味ながら堅調な歌いぶりの井原義則さんのタシロなどなかなかよかった。さらに、こちらも本業は歌のはずなのに滑稽役として奮闘した鳴海卓さんのポプレスク侯爵に演劇畑の本岡銀子さんのグッテンシュタイン侯爵夫人と佐々木政司さんのペニツェックが華を添えた。

■「マリッツァ」はただ単に面白おかしいだけのオペレッタではなく、華やかな世界の裏にある孤独、境遇によってなかなか叶えられない愛のもどかしさや苦悩などの人間ドラマがある作品である。面白おかしい場面と真摯な恋の葛藤とが魅力的な音楽に乗せられて感動が呼び起こされる。この楽しさと深い感動の絶妙なバランスがこの作品の魅力であると思う。

その点で今回の上演はなかなかよいバランスで(多少楽しい方に傾いていたが)楽しさと感動を伝えたのではないかと思う。

■ただ、音楽の面では物足りなさが残った。第一に歌詞が舞台進行のわかりやすさや直訳を重視していたせいか、歌の魅力を減退させていた部分もあったように思えたのである。

特にそれは、第一幕のタシロの名曲「ウィーンによろしく」や第二幕マリッツァとタシロのワルツ「もう一度5月のように踊りたい」に顕著に見られた。

特に後者は「・・・・・・踊りたい、また」という歌詞の副詞「また」が孤立し奇妙に聞こえたし、なによりも「神様」という言葉が何度も出てきて「・・・・・・ワルツを神様ありがとう」というような歌詞もあり、まるで「神に感謝するのが主旨」の宗教歌のようになっていた。確かに直訳では一部そうなるのかもしれないが、この歌は、タシロが愛の喜びで興奮する自分の気持ちを「神よ、僕は今日一体どうしてしまったんだろう・・・・・・こんなに幸せで、こんなに嬉しくて」と歌いだすのであるから、今回の日本語歌詞はこの歌の主旨から外れていたように思える。

■全体の進行をつかさどる歌ではなかなか洒落た歌詞でわかりやすさを発揮したのではあったが(タバリンへ行くときの歌での「ワインも踊りももう最高〜!」という歌詞など)、肝心の聴かせどころの歌では冴えなかったのが残念である。

わかりやすさと魅力的な歌詞の両立は難しいのだろうが、聴かせどころにはやはり「思わず口ずさんでみたくなる」ような歌詞を充ててほしかったと思う(ジュパンとリーザの二重唱の歌詞「さよなら、ごきげんよう」はよかった)。

カールマンの音楽はとても魅力的なので、素晴らしい歌詞と結びついて感動を増してほしいところであった。

■さて、そうは言うものの、この複雑な物語を理解しやすくするために色々な努力がされていることは随所ににじみ出ていたし(タシロの手紙の中にリーザの名前を出すことにより、マリッツァの怒りの原因を一層明確にしたこと、お金の単位などわかりにくい歌詞を省いたことなど)、場面の省略もほとんどせず、小規模ながらバレエも入れてくるなど、見所をよく作り、見る価値のある舞台に仕上げていたと思う。

なによりも滅多に取り上げられないこの作品の日本語上演を試みてくれたことに感謝しなければならない(上演を知らせるベルに二重唱「妹よ」の旋律を使うこだわりにも脱帽)。
  1. 2007/02/13(火) 12:22:28|
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「伯爵令嬢マリッツァ」名古屋で上演

 なんと、カールマンのオペレッタ「伯爵令嬢マリッツァ」が名古屋市文化振興事業団主催事業の一つとして上演されるそうです(2月9日〜11日)。
 しかも日本語全幕上演です。

 オペレッタが、それも「こうもり」でも「メリー・ウィドウ」でもない「マリッツァ」が上演されるなんて珍しいことですね。
 オペレッタの日本語上演といったら名古屋では「大須オペラ」が有名かもしれませんが、上演されるのは専らオッフェンバックの作品で、「マリッツァ」は聞いたことがありません。
いずれにせよ、大いに楽しみな公演です。

 オペレッタを身近に生で聴こうとなると、毎年のように来日しているハンガリー・ブタペスト・オペレッタ劇場の公演を聴きに行くのが一番でしょう。
私は去年(2006)のガラ公演を聴きましたが、そこでは「マリッツァ」からの名曲「夕闇迫れば(ウィーンによろしく)」(Wenn der Abend wird...Grüß mir mein Wien)が突出して感動誘うメロディだったのが忘れられません。

甘く切ないカールマンの名旋律に日本語が乗るとどうなるのか、本質はドイツ語歌唱と変わらないと思いますが、大いに楽しみです。
  1. 2007/01/24(水) 13:07:55|
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11月30日、スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン放送交響楽団演奏会

一昨日は私にとって久々に行った演奏会でした。
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキとザールブリュッケン放送交響楽団の来日演奏会(名古屋)です。
曲目はベートーヴェンの交響曲第5番・6番でした。
まずはその感想からです。

1.感想
・田園交響曲
ゆったりとした第一楽章からすっかり心地よくなりました。
この第一楽章は静かだという印象がありましたが、一昨日の演奏会ではかなり音量がありダイナミックでした。緩やかで音量充分な弦は素晴らしく心地よかったです。私自身ゆったりとしたテンポに、いつの間にか呼吸が深く呼応しているのを感じました。

・運命交響曲
カラヤン並みの速いテンポでした。第一楽章、加速しながら奏された有名な第一主題は差し迫る運命という感じがしました。第三楽章から第四楽章への切り替わりは何度聴いても感動してしまいます。ティンパニのバチが落とされ、一音一音が紡ぎ出していた不安げな雰囲気が、明るい方向へ揺らぎ始め、やがて長調に転じて高らかなファンファーレとなるあの緊張と興奮です。一昨日の演奏でも感動してしまいました。

大盛況でしたが、結局スクロヴァチェフスキ氏はアンコール曲をやりませんでした。最後はコンサートマスターを引っ張って退場するユーモアを見せていました。最近はアンコールが当たり前の時代にあって、なしというのは好感が持てます。メインの演奏に集中して披露する定期演奏会のような意気込みが感じられました。
そういえば、今回は多数のマイクが立ててありましたのでもしかしたら放送用かCD用に録音していたのではないかと思います。この熱気が伝わるCDが発売されることを期待しています。

2.発見
今回はドイツのオーケストラと言うことで、見るからにドイツらしさがありました。団員には女性が多く、髪の毛の長い人もいたり、白い髭の彫刻のような男性がいたりしました。
アメリカのボルトンさんか指揮者のピエール・モントゥーを思わせるような風貌のコンサートマスターと第2ヴァイオリンのドヴォルザーク風の人が対峙して、その感情の入れ具合と動きの派手さの競演を観察するのも面白いです。美しい白髪の揺れ具合と弦裁き、上体の感情表出は壮観です。
あんなに二人ががんばっているのに、後ろの方の人は元気がなく、淡々と弾いているのが不思議です。無論手抜きと言うわけではなく各パートの長を引き立てるための配慮でしょうが。

3.演奏会の良さ
やはり演奏会でのよさの一つは視覚的な楽しみ方ができるところだと感じました。といっても、コンサートマスターと第2ヴァイオリンの主席の白髭の立派さを比較して楽しむのがメインではなく、音楽的な楽しみの方がメインです。

各パートがどのような移ろいしているのか私のような素人には耳で判断するには難しいのですが、目で追うと、例えば、ヴィオラ→第二ヴァイオリン→第一ヴァイオリン→木管と音が移っていくのがわかりおもしろいです。また、右から左から広がりを持って各パートの音が聞こえてきますが、この3次元の方向性と広がりはとてもCDでは味わえぬ醍醐味です。

4.コンサート迷惑人
やはり今回も居ました。とはいっても今回は携帯電話を鳴らす人ではありません。写真撮影です。私が確認しただけでも3人の人がフラッシュを焚いていました。中でも非常識極まりない1人が、指揮者登場前に2,3回、演奏終了後に1回やっていました(最後の1回でようやく係員が止めに入る始末)。一回は丁度田園交響曲の始まる前だったので、私自身非常に不愉快な思いをしました。演奏者にも悪影響を与えかねない行為です。ちゃんとルールは守って欲しいです。

また、演奏後の静寂を破る拍手競争は今回も発生し、一番乗りをした者のせいで田園の余韻はありませんでした。近年これはもうどうしようもありません。ここ数年、このように静かに終わる曲で余韻に浸れたことは一度もないのが残念です。

5.スクロヴァチェフスキ氏
田園交響曲の第一楽章でも指揮棒を縦に激しく振ったり、演奏中にうなり声を上げるなど熱のこもった指揮ぶりでした。ご高齢でもお元気そうです。
誰も居ない指揮台を見ると、2,3年前は岩城さんが立って読売日響を振っていたなと急に偲ばれ、少し寂しくなりました。
スクロヴァチェフスキさんにも長く活動を続けて欲しいです。
  1. 2006/12/01(金) 21:01:33|
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ベートーヴェン「アデライーデ」

優しく静かな伴奏に乗って語られ始めるモノローグ・・・・・・。
美しいドイツ語の響きを伴って、まるで独白のように淡々と、
しかし、時には夢を語るように生き生きと、
時には寂しさ哀しみを湛えるように力強く歌われる。
そして、過ぎ去ってしまった過去に呼び掛けるように、
「アデライーデ」と呟いて終わる。
静寂に響くピアノ伴奏最後の一音の余韻が
何とも言えず印象深い。

静かでどこか甘い旋律をとりながらもドラマティックだ。

初めて聴いたときから何か惹かれるものがあった。
ドイツリートの素晴らしさを一番に教えてくれたベートーヴェンの一曲だった。

フリッツ・ウンダーリッヒ(Tr)
フーベルト・ギーゼン(pf)
録音:1965年8月19日
CD:ORFEO ベートーヴェン、シューベルト、シューマン歌曲集/フリッツ・ヴンダーリヒ

久しぶりに熱中して聴いた一曲でした。歌詞の内容も意味もわかりませんが、音楽が耳と心を惹きつけます。必要な音以外はすべて削ぎ落としたようなピアノと独唱の響きと、ドイツ語の美しさが相俟って、これがドイツリートの魅力だと感じ入りました。もちろんヴンダーリヒの歌唱とギーゼンの伴奏も素晴らしいです。
  1. 2006/11/29(水) 22:47:46|
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11日越智インターナショナルバレエ「白鳥の湖」

 昨日、愛知県芸術文化センター大ホールで行われた越智インターナショナルバレエ「白鳥の湖」を見て参りました。 越智實氏の新プロデュースによる全幕です。

 越智インターナショナルバレエと言えば、名古屋はもとより全国的にも有名なバレエ団であり、相当の数の団員、生徒を擁しているようです。

 さて、今回はキエフより男性ゲストダンサーを呼んでいるということで、男性役はほとんどが白人だったようです。ジークフリート王子役のワディム・ソロマハはとてもよかったです。

 バレエは女性が中心というイメージが一般的にはあるようです。しかし、この白鳥の湖では数は少ないながらも見事な男性ヴァリエーションを見ることができます。やはり跳躍力、端正で雄大な動きと王子様らしい立ち振る舞いはよかったです。

 勿論、オデット・オディール役の越智久美子さんも貫禄の演技でした。とりわけ黒鳥、幕切れのグラン・フェッテは見事でした。また肢体をしなやかに使った表現は素晴らしかったです。

 実は、私は「白鳥の湖」を全幕通して生で見るのは初めてでした。そこで感じたのはチャイコフスキーの音楽の素晴らしさです。

 バレエ音楽ながらクラシック音楽の作品としてしばしば演奏会で取り上げられるだけあって、音楽の充実度は素晴らしいと思いました(3大バレエ組曲はチャイコフスキー自身が演奏会用組曲として抜粋したものが存在します)。

 全編にあふれる感傷的な弦の使い方、憂愁を帯びた旋律、そして壮大華麗で圧巻のオーケストレーションなど、シンフォニーにも匹敵するように感じます。優れた音楽と踊りの調和こそが感動を呼ぶバレエの醍醐味であると改めて実感したのでした。

【余談】
 昨年のこの時期の公演は「ジゼル」でした。前奏曲が始まると共に泣き叫ぶ子どもの声に驚いたものですが、よくよく考えてみれば、公演のお客さんたちはレッスンに通う生徒さんとその親御さんたちが大多数のようですので当然のことでした(この公演は発表会の延長線上でしょうか)。

 開演前、興味津々でオーケストラピットの前に集まる子どもや上演中、双眼鏡で自分の先生探しをする子どもたちのほほえましい光景が見られます。外国のバレエ団の来日公演にはない独特の雰囲気です。

 この公演では、本物のオーケストラが使われたり、本格的な舞台が見られたりと、子どもの頃から芸術の感性、興味を養うにはこれ以上ない環境で良いのではないかと思います。

 私などは高校生のときまでヴァイオリンは中身が詰まっていて重いものだと思い込んでいた分際ですので、小さい頃から本格的な芸術に親しめる子どもたちがちょっとうらやましく思えました。

[本日の朝刊一面]
バーミヤン仏 胎内経を発見
タリバン破壊 残骸から宝
仏教大教授解読 玄奘訳「縁起経」の原典
  1. 2006/11/12(日) 10:00:15|
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